フェアトレード 公平・公正な貿易
フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。先進国が輸入する原料や製品を、適正価格で継続的に途上国から購入することで、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活を改善し、自立を目指す貿易の仕組みのことを言います。
みなさんが普段口にするコーヒーやチョコレートの原料や、いつも着ている服の縫製は、どのような人たちが行い、どのようにして作っているのかを知っていますか?
安い食べ物がある理由は、原料が安いために提供できるものです。安い服も同じように、安い縫製で生産することが可能だから安く提供できるのです。
原料を安く仕入れるためには、大量に生産できる土地があり、安い賃金で働いてくれる労働者がいるから可能になるのです。
そのため、正当な対価が生産者に支払われなかったり、生産性の向上を目的に必要以上の農薬の使用で環境破壊が起きたり、農薬による生産者の健康被害が起こっています。
生産者の労働環境を改善し、自然環境にもやさしく、労働者の生活水準を保証するために、適正価格での取引を継続的に行うことで、持続可能な取引サイクルができるようになります。これこそフェアなトレードです。
日本国内のフェアトレードにはいくつかの種類がある
フェアトレードのラベルが付いているものや、ラベルは無くフェアトレードとだけ書かれているものなど様々です。
この様々な表記の仕方がある理由は、基準となる法律がなく、規制や罰則を受けることもないからです。
また、製品に対してのフェアトレードラベルの他に、事業自体がフェアトレードの基準を満たしていることで認定されるものや、企業ごとに決めたフェアトレードの基準で作られた製品もあるからです。
そのため、ラベルが付いているかどうかでフェアトレードをかどうかを判断することはできないというのが現状です。
国際フェアトレード認証ラベルい付いた製品
製品に与えられる認証ラベルを付けることができるため、消費者も分かりやすく、たくさんの製品の中から選んで購入しやすいのが特徴です。
生産者に保証すべき金額などが設定されており、その基準をクリアした製品のみがラベルを付けることができます。
会社全体ではなく、製品一つからでもラベル取得が可能なため、多くの一般企業が参加しています。
フェアトレード製品でよく聞くものが「コーヒー」「カカオ」「紅茶」になりますが、他にもたくさんの製品がフェアトレード認証製品として認証されています。
スパイス・ハーブ、果物、加工果物、ワイン、オイルシード・油脂果物、食品その他、切花、コットン製品、サッカーボール、金
下記に製造メーカーや販売元が見られる一覧があります。
https://www.fairtrade-jp.org/products/files/20180914_%E8%A3%BD%E5%93%81%E7%B4%B9%E4%BB%8B.pdf
(フェアトレードジャパンホームページより)
団体に対してのフェアトレード認定「WFTO系フェアトレード」
WFTOは、アメリカに本部を置く国際組織でフェアトレード団体の世界的なネットワークです。事業全体がフェアトレード基準を満たしている団体のみ加盟することができます。事業全体に対しての認定のため、そこで作られる製品は全て「フェアトレード」ということになります。そのため、製品ごとにラベルをつける必要はありません。
※WFTO系フェアトレードでもラベルを付ける方法がありますが、別途認証取得が必要となります。
WFTOの10のフェアトレード基準
- 生産者に仕事の機会を提供する
- 事業の透明性を保ち、説明責任を果たす
- 生産者の能力向上に取り組む
- フェアトレードの普及・推進をする
- 生産者に公正な対価を支払う
- 性別に関わりなく平等な機会を提供する
- 安全で健康的な労働条件を守る
- 児童労働の撤廃に務める
- 自然環境に配慮する
- 信頼と相互尊重に基づいて貿易を行う
その他のフェアトレード
日本では「国際フェアトレード認証ラベル」や「WFTO系フェアトレード」が国内で広まる前から、公正な貿易を行っていた企業が多く、認証ラベルなどを取得する必要もなかったという場合と、これらの基準よりも厳しい基準を設けている企業・団体があるためです。
フェアトレードとSDGsとの関係
国際フェアトレードの基準の中には、SDGsの目標に当てはまるものが多くあります。
貧困撲滅、ジェンダー平等、農業の促進、児童労働撲滅など様々です。
国際フェアトレード基準・フェアトレードの取組み
目標1【SDGs1】:貧困の撲滅
・小規模生産者の持続可能な生産・生活を支えるフェアトレード価格+プレミアムの保証
・長期的な取引の促進
・必要に応じ生産者への前払いの保証
目標2【SDGs2】:飢餓の撲滅、持続可能な農業の促進
・小規模生産者の持続可能な生産・生活を支えるフェアトレード価格+プレミアムの保証
・フェアトレード環境基準:農薬の使用制限、水源・土壌・生物多様性の保全、エネルギー・CO2排出削減
目標5【SDGs5】:ジェンダー平等
・ジェンダーの平等とエンパワーメント
・プレミアムを女性の負荷軽減に活用し、社会的立場の向上へ活かす例も:衛生な水へのアクセス、医療、育児・移動手段へのサポート等
目標8【SDGs8】:安全安心な労働環境、強制労働・児童労働の撲滅
・ILO憲章に基づくフェアトレード基準:労働者の権利、よりよい労働条件・労働環境の保証、生活賃金の保証
・児童労働・強制労働発生リスクへの対策
目標12【SDGs12】:持続可能な消費と生産
・フェアトレードは消費者と生産者・ビジネスを繋げる仕組み
・生産サイドの取組みとしては、環境的に持続可能な農法の促進やプレミアムによる持続可能性への取組み:灌漑、生産性の改善等 ・消費サイドの取組みとしては、世界30カ国・2000以上の自治体がフェアトレード調達を促進(フェアトレードタウン)
目標13【SDGs13】:気候変動への対策
・エネルギー使用削減、土壌・水源・生物多様性の保全等
・50%以上のフェアトレード認証生産者はオーガニック認証も取得⇒環境負荷、気候変動の側面からも有効
・気候変動への対策トレーニングの提供
・プレミアムを気候変動対策に活用する例も:雨水灌漑、環境負荷低減農法への切り替え
目標16【SDGs16】:平和で包摂的な社会の促進
・フェアトレード・インターナショナルのガバナンス:小規模生産者・労働者が50%の意思決定権を握り、基準・方針策定などに彼らの意志が反映されている。
・小規模生産者・労働者自らが政策提言に深く関わっていける体制(エンパワーメント)
目標17【SDGs17】:グローバル・パートナーシップの活性化
・マルチステークホルダーアプローチ:フェアトレード基準策定プロセス、持続可能な農業開発に向けたイノベーション、資金調達 ・Incofin Fund Management、Grameen Foundationとのパートナーシップで、生産者へのファイナンスサポート
・政府セクターやプライベートセクターとのパートナーシップ:ネスレネスプレッソ、コロンビア政府、コーヒー生産者組合と共同で退職金プロジェクト
https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/sus.php
(フェアトレードジャパンホームページより)
消費者はこれらを知ったうえで、フェアトレード商品を購入することでSDGsに貢献することができます。
公平・公正な貿易を行うことで、持続可能な社会の実現へとつながるのです。