深掘りコラム

投稿日:2020年08月26日/更新日:2023年12月04日

ESDとは?持続可能な開発のための教育の歩みGAPについても解説

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ESD 持続可能な開発のための教育
ESDとはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されます。

世界中で起こる環境、貧困、人権などの様々な問題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことで、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創り出すことを目指す学習や活動のことを言います。

要するに、ESDは「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」です。

「持続可能な開発」は、現在のニーズを満たしながら、将来の世代のニーズを満たす能力をなくさない社会づくりのことを意味し、環境保全や経済・社会発展をバランスをとりながら進めていくことを意味します。環境保全や資源の無駄使いの抑止、貧困の克服、衛生の確保、教育、差別の克服などへの取り組みが必要となります。

一人ひとりが、今生きる人々と未来を生きる人々、そして環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動することが必要とされています。

ESDの目標

ESDとは?持続可能な開発のための教育

  • すべての人が質の高い教育の恩恵を享受する
  • 持続可能な開発のために求められる原則、価値観及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれる
  • 環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような行動の変革をもたらす

これらを目標とするESD。

教育を行う場では、問題に向きあうために6つの価値観を養うことが目標とされています。

  • 多様性:さまざまな視点をもって考える
  • 公平性:国や年齢に関わらず、誰もが平等に幸せになる権利がある
  • 相互性:人同士はもちろん、生き物や自然から私たちの生活は成り立っている
  • 連携性:皆で協力すれば、大きなことを成し遂げられる
  • 有限性:食べ物や電気などは無限ではないことを理解し、将来のためを考える
  • 責任性:責任をもって、自分にできることは自分から進んで行動する

ESDの歩み

ESDとは?持続可能な開発のための教育
持続可能な開発(SD)の概念が生まれた時代から、ESDが採択され、現在に至るまでの歩みは下記のようになります。

1987 「持続可能な開発(SD)」の概念が提唱
1992 リオ・デ・ジャネイロで行われた「環境と開発に関する国連会議」(国連地球サミット)では、「持続可能な開発」が中心的な考え方として「環境と開発に関するリオ宣言」や「アジェンダ21」に具体的に示され、現在の地球環境問題に関わる世界的な取り組みに大きな影響を与えることになりました。その中に、持続可能な開発の実現に向けて教育が果たす役割も記されています。
1987 「持続可能な開発(SD)」の概念が提唱
1992 リオ・デ・ジャネイロで行われた「環境と開発に関する国連会議」(国連地球サミット)では、「持続可能な開発」が中心的な考え方として「環境と開発に関するリオ宣言」や「アジェンダ21」に具体的に示され、現在の地球環境問題に関わる世界的な取り組みに大きな影響を与えることになりました。その中に、持続可能な開発の実現に向けて教育が果たす役割も記されています。
2002 「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」で、日本が持続可能な開発における人材育成の重要性を強調し、「持続可能な開発のための教育の10年」を提唱しました。これを受け、同年、国連第57回総会決議により、2005年から2014年までの10年を「国連ESDの10年(DESD)」とし、ユネスコが主導機関に指名されました。
2005 DESD国際実施計画をユネスコにて策定
2009 ESD世界会議(ボン)、ボン宣言の採択
2013 「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」が採択
2015 「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」を実施

ESDとGAPの関連性とは

ESDとは?持続可能な開発のための教育
持続可能な開発は政治的な合意、金銭的誘因、又は技術的解決策だけでは達成できません。

持続可能な開発のためには思考と行動の変革が必要であり、教育は重要な役割を担っています。

ESDの可能性を最大限に引き出し、学習の機会を増やすことが必要。

「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム」は、この行動を生み出すための枠組みを示すものです。

ESDとGAPで定める5つの優先行動分野

ESDとは?持続可能な開発のための教育

本章では、ESDとGAPで定める5つの優先行動分野を紹介します。

  • 政策的支援(ESDに対する政策的支援)
  • 機関包括型アプローチ(ESDへの包括的取組)
  • 教育者(ESDを実践する教育者の育成)
  • ユース(ESDを通じて持続可能な開発のための変革を進める若者の参加の支援)
  • 地域コミュニティ(ESDを通じた持続可能な地域づくりの促進)

それぞれ見ていきましょう。

政策的支援(ESDに対する政策的支援)

「ESD活動支援センター(全国・地方)」による全国的なESD支援のためのネットワーク機能の体制整備をはじめとし、教育政策へのESDの位置づけ、持続可能な開発に関する政策へのESDの反映、多様なステークホルダーの連携の促進、国際的なESDの推進、を政策的に支援する。

機関包括型アプローチ(ESDへの包括的取組)

ESDを推進するモデル校の育成等、様々な機関が組織全体としてESDの実践に取り組むことを促進し、その取組を支援する。

教育者(ESDを実践する教育者の育成)

「ESD実践の手引(仮称)」を活用した教職員研修や教材の作成等、教員を含む様々なESD実践者の能力を育成する施策を記載。

ユース(ESDを通じて持続可能な開発のための変革を進める若者の参加の支援)

ユースフォーラムの開催や全国ユース環境ネットワーク促進事業の実施等、持続可能な社会の担い手であるユースの参加を支援する施策について記載。

地域コミュニティ(ESDを通じた持続可能な地域づくりの促進)

多様なステークホルダーのネットワークの構築や、地方環境パートナーシップオフィスにおけるコーディネートの推進、ESDコンソーシアム事業の拡充等、地域における多様なESDに関する学習の機会の提供等に関する施策について記載。

ESDで日本が優先的に取り組むべき課題

ESDとは?持続可能な開発のための教育
先進国が取り組むべき環境保全を中心とした課題を入り口として、環境、経済、社会の統合的な発展について取り組みつつ、開発途上国を含む世界規模の持続可能な開発につながる諸課題を視野に入れた取組を進めていくこととします。

また、我が国の提案に基づき2010年に国連で決議された「国連生物多様性の10年」に係る取組と連携を図ることも重要です。