深掘りコラム

投稿日:2020年08月05日/更新日:2023年12月04日

パリ協定と京都議定書と気候変動枠組条約の関係

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パリ協定と京都議定書

気候変動(地球温暖化)によって引き起こされる様々な災害。
海面上昇、氾濫、熱波による疾病・死亡、食糧不足、水資源不足、生態系への影響、気象現象によるインフラの機能停止など、すでにこのようなリスクがあることは数十年前から予測されており、これらに対する動きは最近になって始まったものではありません。

1992年6月に開かれた地球サミットでは、地球温暖化を防止するための「気候変動枠組条約」が締結し、1994年に発行。
1997年「京都議定書」が採択され、2005年に発行。
日本は2008年~2012年は第一約束期間とされ、温室効果ガス6%削減が目標。
2012年以後(第二約束期間)の削減については「ポスト京都議定書」として議論が続けられる。
2015年12月「パリ協定」が気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択される。
日本は2030年までに温室効果ガスを、2013年と比べて26%削減が目標。

簡単にまとめると、
世界で起こる気候変動・地球温暖化に関して条約が結ばれ、ルールが決められたというものです。
下記では「気候変動枠組条約」「京都議定書」「パリ協定」について短くまとめたものになります。
気になっている方は、ぜひこの歴史を頭に入れておいてください。

気候変動枠組条約

気候変動枠組条約

1992年6月に開かれた地球サミット(国連環境開発会議)。
この時に温暖化や森林破壊に関する環境問題への対応をどうするかが話し合われました。
1994年3月に「気候変動枠組条約(地球温暖化防止条約)」発効。
大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目的とし、地球温暖化がもたらす悪影響を防ぐための国際的な枠組みを定めた条約です。
1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。COP会議の結果は下記で確認することができます。
http://www.env.go.jp/earth/copcmpcma.html
温室効果ガスの排出・吸収の目録、温暖化対策の国別計画の策定等を締約国の義務としています。

「気候変動枠組条約」とはその名の通り「条約」です。
条約とは、文書に書き記した、国家間または国際機関との間での合意。
気候変動に関する問題点をいろいろ解決していこうということに合意しましたよ、というものです。

では、実際にどのように行っていけば解決していくのか。
それを決めたのが「京都議定書」と「パリ協定」になります。

京都議定書

京都議定書

1997年に京都市で開かれた温暖化防止の国際会議。この中で「京都議定書」が採択されました。
各国の受け入れ拒否や判断の見送りもあり、発行は2005年となってしまいます。

「京都議定書」は「気候変動枠組条約」に具体的なルール(何を、いつまでに、どうするのか)を決めたもので、2020年までの温暖化対策の目標を定めたものになります。

対象は先進国のみで、法的拘束力があるのが特徴です。
・達成できなかった数字分の温室効果ガスの排出枠を購入する必要がある
・今後の対策で帳尻を合わせる必要がある

対象が先進国のみであるという点で、不公平だという意見があったのも事実です。
※1997年の発展途上国には中国・インドも含まれています。

パリ協定

パリ協定

パリ協定は「京都議定書」からバトンタッチして、2020年以降の目標を定めています。
こちらも何をいつまでにどうするかを決めたルールブックです。
気候変動枠組条約の「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」の目標達成のために、21世紀後半には、世界の温室効果ガス排出量と吸収量(森林など)のバランスをとるというものです。

対象は発展途上国も含む世界中の参加国です。
各国が温室効果ガスに対する目標を提出することは義務としてありましたが、目標を達成することは義務ではありません。
5年に1回削減目標の見直しを行う。(今よりも厳しい目標へと見直し)
日本の場合、2030年に向けた目標を提出しているので、改めて提出しなくても大丈夫なようです。
パリ協定開始までの流れは下記のようになります。

  • 2015年「COP21」(パリ)で採択
  • 2016年協定発効
  • 2020年本格運用開始

アメリカのパリ協定離脱問題

アメリカ離脱

アメリカ合衆国(ドナルド・トランプ大統領)は、2017年6月にパリ協定から離脱する意向を表明し、正式な離脱通告が可能となった2019年11月4日に正式に離脱を表明しました。
パリ協定は、規定上、発効から3年経過して以降、国連に脱退の通告をすることができます。
また、その通告が有効になるまでに1年かかる規定になっているので、米国の脱退が可能となるのは2020年11月4日以降になります。
実際の離脱は2020年11月3日の大統領選の結果にかかっています。
もしトランプ氏が敗北すれば、勝者が離脱するかどうかを決めることができます。

アメリカが離脱するとどうなるの?

世界の二酸化炭素排出量の約15%を占めるアメリカが離脱すると、パリ協定の「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」協定の目標が達成することができないことが目に見えています。
各国の二酸化炭素排出量は下記で見ることができます。
https://www.jccca.org/chart/chart03_01.html
しかし、アメリカ離脱後でも、アメリカの二酸化炭素排出量が減り続けるのであれば問題ないと言えます。

1992年の地球サミットから条約ができ、時代に合わせたルールが決められてきました。
二酸化炭素排出量の多い国の動き一つで、目標が達成できなくなる可能性が高いパリ協定ですが、中国・アメリカ・インドは、それだけ重要な役割を担っているということです。